水溶性炭素
小豆などの有機物を無酸素状態で熱処理して生成する物質です。製造方法は伝統的な炭焼きと似ていますが、より低温かつ短時間で処理し、完全には炭化させないのがポイントです。その結果、木炭とは異なる物性と生理活性を示します。ベンチャー企業の株式会社EEN(東京都文京区)が先鞭をつけました。
水溶性炭素は木炭と異なり、電気を通さず、水に溶けます。当評議会はEEN社から委託を受け、水溶性炭素配合の飲料水「オーガニック・カーボン・ウォーター」をサンプル生産し、販売を開始すると同時に、研究機関等へこれを配布し、科学的な試験研究を開始しました。続いて消臭に焦点を当てた「カーボン・デオドフレッシュ」の販売も開始しております。
1.消臭効果
①食品分析センター実験
2012年の財団法人日本食品分析センターの分析で、オーガニック・カーボン・ウォーターは、三大悪臭要素に対して、次の消臭力が認められることが分かりました。
試験成績書番号: 第12030321001-05(2012/5/28)
②生活環境での実証実験
日本食品分析センターの実験結果を踏まえて、生活環境で実証実験をしたところ、次のような結果の報告がありました。
- ペットの糞尿:カーペットなどに染み込んでいる場合には、ふき取った後、3回程度スプレーする。30分くらいしたら再度スプレーすると効果がある。但し、尿の場合で30分程度、糞の場合(硫化水素系)は、最大で4時間程度かかる場合がある
- ペット臭:部屋全体(クロスや床など)に臭いがしみ込んでいる場合には、超音波式加湿器を使って噴霧する方法が効果的。
- 犬のマーキング:電柱にスプレーをしたところ、マーキングが減った
- 靴・ブーツ:スプレー1回、冷蔵庫・下駄箱には3回程度、ゴミ箱・トイレにはまんべんなく、スプレーすると、より消臭効果が現れる。
- タバコ臭:スーツの左右半分ずつにスプレーしたところ、翌朝(6時間後)にはスプレーした方だけタバコ臭が消えていた
*いずれの実験でも、日本食品分析センターの実験結果同様、即効性はありませんでした。しかしながら次亜塩素酸ソーダなど塩素系の消臭剤とは異なり、人が飲んでもペットが飲んでも大丈夫という安心感は大きなものがあります。
2.農牧業応用
農牧業応用に関しては以下の様な現象が報告されています。先鞭をつけたのは、水溶性炭素の効果にいち早く気付いた宮崎県都城市の斎藤牧場主、斎藤秋雄さんでした。
①口蹄疫被害を阻止
2010年には都城市で口蹄疫が流行しましたが、斎藤牧場の乳牛は1頭も罹患しませんでした。斎藤牧場は2009年から乳牛に水溶性炭素水を飲ませています。牛の体温が0.5度から1度高くなっており、免疫が活性化した結果ではないかと斎藤さんは考えています。
また副効果として乳牛の糞尿が無臭化しました。評議員が2011年8月に視察した際には、外気温が30度を超えているのに、牧舎の直前まで臭いを感じませんでした。また、ミルクの味が良く、濃度が濃くなった(固形分が増えている)との報告があります。
②新燃岳の火山灰被害からの回復
2011年1月の霧島山(新燃岳)の噴火で斎藤牧場には火山灰が5cmも堆積し、乳牛の飼料となる牧草が全滅してしまいました。斎藤さんが牧草地に水溶性炭素水を散布したところ、2ヶ月程度で牧草が生えてきました。
火山灰が含む硫化水素などにより酸性化した土壌を中和する場合、一般的には消石灰(水酸化カルシウム)を散布します。水溶性炭素は消石灰に比べてはるかに穏やかな物質ですが、同等以上の効果を示したことになります。
(左:散布なしの牧草。 右:水溶性炭素水散布2ヶ月後の牧草。)
③農作物の改善
穀物や野菜、果物の収量が増えたり品質が上がる効果が多数確認されています。詳細は「斉藤牧場だより」で紹介します。
3.水産業応用
愛媛県宇和島市で営業する徳弘水産のタイ養殖場で水溶性炭素を飼料に混ぜたところ、次の効果が確認されました。
- 病気で死ぬ率が減り、成長が速くなった
- 2ヶ月位で鯛の身が締まってきた(泳ぎに切れが出てきた)
- 鯛の身自体の養殖の臭さが消えた(天然の味に近づいてきた)
- 鯛を裁いた時に水っぽさが消え、味も良い(身がぷりぷりしている)
(左:徳弘水産 右:水溶性炭素を餌に混ぜ、27cmに成長した金魚 通常は3cm)